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派遣スタッフを受け入れるにあたって

派遣の受け入れを検討する段階から派遣契約が終了するまでの流れに沿って、派遣先企業の皆さまにご留意やご配慮いただきたいことをまとめました。
派遣サービスを安心してご活用いただくためにも、ぜひご協力をお願いいたします。

派遣と請負の違い

派遣は、派遣会社の雇用する派遣スタッフを派遣先が指揮命令するのに対し、請負は、発注者と請負労働者との間に指揮命令関係が生じません。
派遣と間違われることなく適正な請負契約とする(=偽装請負にならないようにする)には、
1.自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するもの
2.請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するもの
などの要件を満たす必要があります。

派遣

派遣
  • 指揮命令は派遣先が行う
  • 雇用主は派遣会社

請負

請負
  • 発注者は請負労働者に指揮命令しない
  • 雇用主は請負会社

二重(多重)派遣の禁止

労働者派遣は、派遣会社(派遣元)に雇用関係があり、派遣先に雇用関係がなく指揮命令関係のみがあります。いわゆる二重派遣の場合、派遣先が新たに労働者の供給元になり、その供給元に派遣を依頼した注文者が新たな供給先となります(下図参照)。
派遣先が受け入れた雇用関係のない者を第三者の指揮命令を受けて就業させた場合、職業安定法第44条で禁止されている労働者供給事業に該当しますので、二重(多重)派遣は禁止されています。

二重派遣の禁止

派遣の禁止業務

労働者派遣には、派遣を行ってはいけない業務が以下のようにあります。

1.港湾運送業務

船内荷役・はしけ運送・沿岸荷役やいかだ運送、貨物の固定・荷造り・荷直し など

2.建設業務

建設現場内での建設作業、修理、解体の作業やこれらの準備の作業 など

3.警備業務

施設内の事故の発生を警戒し防止する業務、駐車場や混雑する場所での雑踏整理 など

4.医療関連の業務

紹介予定派遣の場合や、社会福祉施設等における業務には派遣可能

5.労使協議の際に使用者側の当事者として行う業務

団体交渉や各種協定締結のための労使協議に使用者側の直接当事者として行う業務

6.弁護士・公認会計士・税理士などの士業の業務

  • ⅰ 上記の他、司法書士、土地家屋調査士、弁理士、社会保険労務士、行政書士
    業務遂行において資格者個人が業務委託を受け当該業務を行うので、指揮命令を受ける体制にないため
  • ⅱ 建築士
    建築士法により建築士は専任である必要があるため

派遣受入期間の制限

2015年の派遣法改正後は、業務の内容によって派遣を受け入れることができる期間に違いはなくなりました。
派遣受入期間は、どのような業務であっても次の2つの考え方によって整理します。

派遣先事業所単位の
期間制限
派遣先が派遣を受け入れることができる期間(派遣可能期間)は、原則として3年までです。
これは、「事業所」を単位として考えます。
3年の起算は、事業所ごとに、2015年の派遣法改正内容が適用される契約(新法適用契約)の初日です。
原則3年の派遣可能期間は、「労働組合等からの意見聴取」を行うことによって延長することができます。
派遣スタッフ
個人単位の期間制限
派遣先が同じ派遣スタッフを受け入れることができるのは、3年が上限です。
これは、「組織単位」と呼ぶ部署を単位として考えます。
以下、組織単位=課として説明します。

2つの期間制限をあわせて考えると...

事業所単位の派遣可能期間が意見聴取によって延長された場合

派遣スタッフを軸に見ると・・・

課が変われば、同じ派遣スタッフを同じ事業所内で、3年を超えて受け入れることが可能となります。
別の言い方をすれば、同じ派遣スタッフを同じ課で3年を超えて受け入れることはできません。

組織を軸に見ると・・・

同じ課の業務に、別の派遣スタッフを受け入れることは可能です。

派遣スタッフを軸に見ると

事業所と組織単位の定義

事業所

原則 まずは場所で考えます。離れた場所にある建物は、別個の事業所と判断します。
例外 場所的には分散していたとしても、出張所など規模が小さく組織関連や事務能力からみて、ひとつの事業所という程度の独立性がない場合には、ひとつ上の組織に包括して全体をひとつの事業所とします。
参考 上記の考え方は、雇用保険法の考え方と同じです。よって、雇用保険法上「事業所」として取り扱われている=雇用保険の事業所番号が付与されているのであれば、その建物はひとつの事業所と考えます。

組織単位

次の2つの要件を満たす組織のまとまりが「組織単位」です。

1.業務としての類似性や関連性があること。
2.その組織の長が、業務配分や労務管理上の指揮命令監督権限を有していること。

(いわゆる「課」や「グループ」など、上記の内容に即して判断されます)

労働組合等からの意見聴取

事業所単位の派遣可能期間3年を超えて派遣労働者を受け入れたい場合、派遣先がその事業所の過半数労働組合等(過半数労働組合または過半数代表者)に対して意見を聴く必要があります。
意見聴取は、期間制限の上限に達する1ヵ月前までに行うことが必要で、過半数労働組合等から異議が示されたときは、対応方針等を説明する義務があります。
(派遣先は過半数労働組合等に十分な考慮期間を設けるよう配慮する必要があります)

派遣受入期間制限の例外

以下のいずれかに該当する場合、期間制限がかかりません。

派遣スタッフの属性に関する例外

  • 派遣会社が無期雇用する派遣スタッフの場合
  • 60歳以上の派遣スタッフの場合

派遣スタッフが従事する業務に関する例外

  • 終期が明確な有期プロジェクト業務の場合
  • 日数限定業務の場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等取得者の代替業務の場合
有期プロジェクト業務とは? 一定の期間内にて、終期があらかじめ決まっている業務
日数限定業務とは? その業務が1ヶ月間に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数の半分以下かつ10日以下の業務
「産前産後・育児休業」、「介護休業」を
取得する労働者の代替業務とは?
派遣先の社員が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得する場合の、その代替の業務
派遣先事業所単位の期間制限の例外とは

事業所で受け入れる全ての派遣スタッフの属性または業務が上記例外に該当する場合、派遣可能期間は3年までという原則が適用されません。意見聴取をせずに、3年を超えて受け入れることが可能となります。ただし、例外に該当しない派遣スタッフが一人でもいる場合には、その事業所は期間制限の例外とはならず、原則どおり派遣可能期間は3年となります。

派遣スタッフ個人単位の期間制限の例外とは

派遣スタッフの属性または派遣スタッフが従事する業務の内容が上記例外に該当する場合、同じ課で3年までとの期間制限が適用されないため、同じ派遣スタッフを同じ課で3年を超えて受け入れることが可能です。

日雇派遣の禁止

派遣会社と派遣スタッフとの労働契約期間が30日以内である場合、原則として派遣することができません。
また、労働契約が31日以上でも、週の所定労働時間が20時間未満の場合、原則として派遣することができません。

日雇派遣の禁止日雇派遣の禁止

以下の1または2のいずれかに該当する場合は、例外として日雇派遣が認められます。

1.業務による例外

日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令第4条第1項で定める業務
(旧政令26業務のうちの18業務)

◇具体例◇
・機器操作 (令第4条第1項第3号)
・財務   (令第4条第1項第8号)
・貿易   (令第4条第1項第9号)

2.派遣スタッフの
属性による例外

雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合

・60歳以上の高齢者
・昼間学生
・副業として従事する者(生業の収入が500万円以上である場合)
・主たる生計者でない者(世帯全体の収入が500万円以上である場合)

離職後1年以内の「戻し派遣」の禁止

60歳以上の定年退職者を除き、派遣先を離職した労働者を、離職から1年間は派遣スタッフとして受け入れることはできません。

離職後1年以内の戻し派遣の禁止

例えば、A社の東京本社を退職後、配偶者の転勤に伴い大阪に転居し派遣会社B社に登録した派遣スタッフを、A社大阪支店での業務に派遣する(受け入れる)こともできません。

  • ※1 雇用形態による区別はありません。正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイトなどであっても同様です。
  • ※2 離職理由は関係ありません。自己都合による退職も含みます。

派遣労働者の「同一労働同一賃金」

派遣労働者の「同一労働同一賃金」が盛り込まれた改正労働者派遣法が、2020年4月1日に施行され、派遣先に雇用される通常の労働者と、派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消することを目的に、派遣元および派遣先に新たな義務が課されました。

派遣労働者の待遇決定方式(概要)

派遣労働者の待遇については、以下のいずれかの方式を派遣元が選択し、確保する

A派遣先均等・均衡方式
派遣先均等・均衡方式

派遣先の通常の労働者との均等・均衡により待遇を決定する方式
⇒派遣元は派遣先からの詳細な情報提供をもとに派遣労働者の待遇を確保する

待遇情報提供(義務)
派遣先均等・均衡方式を選択すると

➣対象となる待遇
「職務内容」や「職務内容および配置の変更範囲」が 近い、
派遣先の“比較対象労働者”のすべての待遇
(基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練、安全管理等)

➣派遣先から提供が必要な情報
比較対象労働者についての詳細な情報(選定理由含む)
比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容待遇それぞれの性質および目的待遇
それぞれの決定にあたり考慮した 事項

※比較対象労働者の待遇に変更があった場合、 遅滞なくその変更情報を提供すること

B労使協定方式
労使協定方式とは

一定の要件を満たす労使協定を派遣元が締結し待遇を決定する方式
⇒派遣元は労使間で合意した協定の内容をもとに待遇を確保する

労使協定方式
労使協定方式を選択すると

➣対象となる待遇
賃金:同じ地域で同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と比較
  
(同等以上)
賃金以外:派遣元の通常の労働者と比較
    (以下の教育訓練、福利厚生施設は派遣先との均等/均衡)

➣派遣先から提供が必要な情報
教育訓練、福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)

※業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施、
福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用機会付与は派遣先の義務となる

(参考)アヴァンティスタッフは
労使協定方式を選択しております。

労使協定方式による待遇確保を進めるにあたり、派遣先に下記の対応をしていただく必要があります。

業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施、福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用機会付与は派遣先の義務となります(労使協定の対象外)。

書面で情報提供・労働派遣契約締結

派遣先からの情報提供がない場合、派遣契約を締結することが禁止されています。

事前面接の禁止

派遣先は、派遣スタッフを受け入れるにあたり、以下にあげるような「派遣スタッフを特定することを目的とする行為」を行ってはいけません。

具体的な禁止行為

「派遣スタッフを特定することを目的とする行為」とは、派遣スタッフの候補者の中から特定の者を派遣スタッフとして派遣先が選択することを目的とする行為をいいます。
○事前面接  ○履歴書等の請求  ○性別や年齢層の限定  ○適性検査

実施が認められる職場見学について

派遣スタッフが決定していない、候補者段階の場合

派遣会社から打診された仕事を受けるか否かを判断するため、候補者が自らの判断の下に派遣先を訪問し、就業場所や業務内容等の詳細について確認を行うことは、その行為が派遣先による派遣スタッフの特定の余地を生じさせない限り行うことができます。

派遣スタッフが決定している場合

派遣会社が派遣スタッフを決定し、派遣先に氏名等の通知を行なった後に、職場見学を行うことは、派遣先による派遣スタッフの特定の余地を生じさせない限り特定行為には該当しないとされています。

就業前の職場見学についての留意事項

職場見学の趣旨

  • 派遣スタッフ自らの判断の下に行われること
  • 業務内容の事前打合せ、または仕事を受けるか否かを派遣スタッフ自身が判断することが目的であること
  • 派遣先の評価を受けるためのものではないこと

職場見学の実施時についての留意事項

  • 派遣スタッフがひとりでの訪問を希望しない限り、派遣会社の担当者が同席します。
  • 派遣受け入れ予定のポストが一人の場合、1回につき派遣スタッフ一人に限られます。
  • 派遣先による説明は、以下のような派遣業務に関連した事項に限られます。
    ◇業務の具体的内容、必要な業務能力、職場環境(食堂、喫煙環境など)、人員や社員構成など、出退勤手続き、服務規律、福利厚生 など
  • 派遣先による質問は、必要な業務能力を明確に説明したうえで、それに該当するか否かを確認する目的の範囲内の事項に限られます。
    ◇派遣業務に関わる派遣スタッフの業務経験、知識、技術 など
  • 派遣先が派遣スタッフを特定していると誤解を招くような発言は控えてください。
    ◇「あなたに決定します」 「検討して連絡します」 など

職場見学の実施後について

派遣スタッフと相談のうえ、最終的に派遣就業に至らない場合もあります。事業所訪問に同席したときのやりとりや、訪問後に聞いた派遣スタッフの希望等を踏まえ、派遣会社が派遣できるか否かを判断します。

派遣契約の締結

派遣先は、派遣スタッフの受け入れにあたって、次の事項を定めた労働者派遣契約(個別契約)を派遣会社と締結することが必要です。
なお、労働者派遣契約を締結するにあたっては、派遣先は派遣元に対して事業所単位の期間制限について「抵触日」を通知することが必要です。

Point!

複数の組織単位で派遣を利用する場合も、抵触日は事業所単位で1つとなります。抵触日の管理にご注意ください。

  1. 派遣スタッフが従事する業務の内容
  2. 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
  3. 派遣スタッフが就業する事業所の名称、所在地、派遣就業の場所と組織単位(組織の長の職名)
  4. 指揮命令者の部署・役職・氏名
  5. 労働者派遣の期間と就業する日
  6. 就業開始・終了時刻、休憩時間
  7. 安全及び衛生に関する事項
  8. 派遣スタッフから苦情の申し出を受けた場合の苦情処理に関する事項
  9. 労働者派遣契約の解除に当たり講ずる派遣スタッフの雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
  10. 紹介予定派遣の場合には、紹介予定派遣に関する事項
  11. 派遣先責任者・派遣元責任者に関する事項
  12. 休日出勤や残業ができることとした場合には、休日出勤できる日数と残業できる時間数
  13. 派遣スタッフの福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
  14. 派遣先が派遣終了後に派遣スタッフを雇用する場合の、紛争を防止するために講ずる措置
  15. 派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別
  16. 派遣スタッフを無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別
  17. 派遣受入期間の制限を受けない業務に関する事項
  18. 派遣労働者の人数
  19. 派遣会社の許可番号

※下線部は、2020年の派遣法改正により追加された内容です。

派遣契約期間中は、締結した契約内容を遵守することが必要です。

派遣スタッフの受入れ準備のポイント

派遣スタッフがスムーズに就業を開始できるように、以下のポイントに沿ってぜひチェックをして下さい。

事前準備

  • 座席の確保
  • パソコンや電話機、備品の準備
  • メールアカウント作成(申請)
  • 社内システムのユーザ作成(申請)
  • 社員証、セキュリティカードの準備

説明事項(基本ルール)

  • 入退室のルール
  • 館内設備(休憩室、ロッカー、給湯室、トイレ、非常口等)
  • パソコン等の使用に関するルール(共有フォルダ・メールアカウント・プリンタの設定)
  • 組織図/座席表/内線表
  • 電話の取り方(社名の名乗り方)

説明事項(仕事内容)

  • 部門の役割、ミッション、目標
  • 業務マニュアルや引き継ぎ書
  • 業務の流れ(日次・月次)やスケジュール等

派遣先責任者・派遣先管理台帳

派遣先責任者選任の条件

  • 派遣先の「事業所その他派遣就業の場所ごと」に、専属の派遣先責任者を選任する
  • 派遣スタッフの数について1人以上100人以下を1単位とし、1単位につき1人以上ずつ選任する

派遣先責任者の役割

  • 派遣スタッフの就労に関する関係者すべてへの周知
    周知するべき事項は
    ○派遣先に適用される派遣法・労働基準法の規定の周知  ○労働者派遣契約の定め  ○派遣元事業主からの通知(氏名等)
  • 派遣可能期間の延長通知
  • 派遣先における均衡待遇の確保
  • 派遣先管理台帳の作成・記録・保存、派遣元への通知
  • 派遣スタッフから申し出を受けた苦情の処理
  • 安全衛生教育・健康管理
  • 派遣スタッフに関わる派遣元との連絡調整

派遣先管理台帳の項目

派遣先は、派遣就業に関して、派遣先管理台帳を作成し、派遣スタッフごとに以下の事項を記載することが必要です。

  1. 派遣労働者の氏名
  2. 派遣元事業主の氏名又は名称、事業所の名称および所在地
  3. 協定対象派遣労働者であるか否かの別
  4. 無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者かの別
  5. 派遣就業をした日
  6. 派遣就業をした日ごとの始業・終業した時刻並びに休憩した時間
  7. 従事した業務の種類
  8. 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
  9. 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業した場所並びに組織単位
  10. 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
  11. 紹介予定派遣に係る派遣労働者については、当該紹介予定派遣に関する事項
  12. 教育訓練を行った日時及び内容
  13. 派遣先責任者及び派遣元責任者に関する事項
  14. 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項
  15. 派遣元事業主から通知を受けた派遣労働者に係る社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無(「無」の場合はその具体的な理由を明記)

※下線部は、2020年の派遣法改正により追加された内容です。

派遣先管理台帳は、派遣終了後3年間の保管義務があります。

上記のうち1、5、6、7、8及び9の事項を、1ヶ月に1回以上、一定の期日を定めて書面(または電子メール・ファクシミリ)に記載して、派遣元へ通知することとされています。

派遣先が講ずべき措置(その他)

前述の内容以外に、派遣法上、派遣先に課される各種義務の内容を説明します。

2つの募集情報周知義務

正社員募集情報の周知義務

どんな場合
事業所で働く正社員を募集する場合
だれに
その事業所で1年以上継続して受け入れている派遣スタッフに対して
どのように
事業所の掲示版やイントラネットへの掲示等の方法によって
何をする
正社員募集の情報を周知しなければならない

提供方法は、事業所への掲示等に加え、派遣元事業主を通じて行うことも可能です。また、全国転勤の総合職の募集情報など、派遣労働者に応募資格がないものまで周知する必要はありません。

労働者募集情報の周知義務

どんな場合
事業所で働く労働者(雇用形態問わず)を募集する場合
だれに
その事業所内の、同じ組織単位の業務に継続して3年間受け入れる見込みがあり、派遣元から直接雇用の依頼があった派遣スタッフに対して
どのように
事業所の掲示版やイントラネットへの掲示等の方法によって
何をする
労働者募集の情報を周知しなければならない

労働者募集情報は、正社員募集に限らず、契約社員・パート社員など雇用形態問わず対象となります。

なぜ、募集情報の周知が必要?

派遣法の改正によって、「派遣先での正社員化の推進」と「雇用の安定」を目的に、対象となる派遣労働者に対し、派遣先社員の募集情報を提供することが定められた為となります。

努力義務

派遣スタッフの
雇入れ
  • 組織単位の同一の業務に、同一の派遣スタッフを継続して1年以上受け入れている
  • 派遣元から、その派遣スタッフを直接雇用するよう依頼がある(上記の場合、派遣スタッフが希望すると、派遣元には、派遣先に直接雇用を依頼する努力義務が発生)
  • 派遣終了後に、同一の業務に従事させるために労働者を雇用しようとする場合
(上記の)1年以上受け入れている派遣スタッフを、雇い入れるように努めなければならない。

労働契約申込みみなし制度

「労働契約申込みみなし制度」とは

派遣先が、「違法派遣」と知りながら、1~4に掲げる違法派遣の受け入れ等を行った場合、違法行為のペナルティ措置として、派遣先が派遣スタッフに対して労働契約の申込みをしたとみなされる制度です。
みなされた労働契約の申込みを、派遣スタッフが受諾した場合、派遣先と派遣スタッフ間で、労働契約が成立することになります。

  1. 派遣禁止業務への派遣受入れ
  2. 無許可の業者からの派遣受入れ
  3. 派遣受入期間制限に違反しての派遣受入れ (※)
  4. 偽装請負に該当する場合  (※)
  • ※3.派遣受入期間制限に違反しての派遣受入れとは?
    派遣先事業所単位の期間制限違反と、個人単位の期間制限違反のどちらも対象となります。派遣先事業所単位の期間制限違反は、労働組合等への意見聴取をせずに3年を超えて派遣を受け入れる場合や、意見聴取はしたものの意見聴取手続が要件を欠いていた場合などが該当します。個人単位の期間制限違反は、個人で3年までとされている同一の組織単位(課)の受入期間制限に違反して受け入れた場合が該当します。
  • ※4.「偽装請負」とは?
    契約上は「請負」や「準委任」の形態をとっているにも関わらず、現場では「派遣」として運用、つまり発注元の社員が発注先の社員に対して業務の指示・命令を直接行っている状態であることを指します。

この様な、事実上「偽装請負」と見なされるようなことが現場で起こっており改善が難しい場合は、コンプライアンスの観点から、早急に「派遣」契約への切り替えが求められます。

「労働契約申込みみなし」の有効期間と、締結される契約内容は?

派遣先は、違法状態が終了した日から1年間は、労働契約の申込みを撤回することができません。また、締結される契約内容は、原則として、「派遣元と派遣スタッフの間で結ばれていた労働契約内容」がそのまま適用されることになります。

労働基準法等の適用に関する特例

派遣スタッフの雇用主は派遣会社ですが、就業場所は派遣先であり指揮命令は派遣先が行うことから、派遣先にも労働基準法等における使用者としての責任が生じます。

労働基準法等の適用に関する特例

原則通り、雇用主である派遣会社が責任を負う項目

  • 賃金の決定
  • 給与計算、給与支払
  • 労働条件・就業条件の明示
  • 社会・労働保険の得喪手続き
  • 36協定等の締結・届出
  • 就業規則の作成・届出
  • 年次有給休暇の付与
  • 一般健康診断
  • 賞罰、解雇  等

派遣先が使用者とみなされ、派遣先が責任を負う項目

  • 労働時間の指示・管理
  • 時間外・深夜労働の指示・管理
  • 休憩・休日の指示・管理
  • 職場における安全配慮義務
  • 受動喫煙防止対策
  • 有害業務に係る健康診断
  • 苦情に対しての適切かつ迅速な処理
    (セクハラ、パワハラ等のハラスメント対応を含む)
  • 感染予防対策  等

労働時間(残業・深夜労働含む)・休憩・休日の指示・管理

派遣スタッフの就業時間や休憩・休日は、派遣契約で定めた内容に従って、派遣先が管理を行います。派遣スタッフに行わせることができる残業時間は、派遣会社の36協定によって決まっています。

有給休暇の取得

派遣会社との通算雇用期間によって、派遣スタッフにも有給休暇の権利が発生します。(2019年4月に労働基準法が改正され、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に年5日 の有給休暇を取得させることが使用者の義務となりました。派遣スタッフも条件を満たせばこの制度の対象となります。)
派遣スタッフから有給休暇取得の申し出があった場合には、スムーズに取得できるようにご配慮いただきますようお願いいたします。

職場における安全配慮義務等

労働安全衛生法は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保することを使用者に義務付けています。派遣スタッフの場合、定期健康診断の実施や雇入れ時の安全衛生教育等の一部を除いて、派遣先が派遣スタッフの使用者として労働安全衛生法上の責任を負うこととされています。例えば、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」には、派遣スタッフも含めて、作業時間管理等を行うよう規定されています。同ガイドラインでは、VDT作業は1連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までの間に10分程度の休止時間を設けることとされています。
また、メンタルヘルスケアの取組みには、派遣元と派遣先が連携し対応することが不可欠です。連携が必要となった場合には、ご協力をお願いいたします。

地震・台風等の自然災害をはじめとする非常時の安全確保やそのための事前準備(帰宅困難対策としての備蓄品の配備や防災対応力向上のための訓練への参加等)には、派遣スタッフに対しても、派遣先の社員の皆さまと同様の取扱いをしていただきますようお願いいたします。

ハラスメントの防止

男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法等によって義務付けられているハラスメント防止のための措置(方針の明確化や周知、相談体制等)については、派遣先は、派遣スタッフに対しても、自社従業員と同様に対応することとされています。

母性健康管理の推進

派遣スタッフが妊産婦である場合、母性健康管理のために以下の取組へのご協力をお願いいたします。

  • 保健指導や健康診査を受けるための時間の確保
  • 医師等の指導事項に応じた措置(勤務時間の変更や勤務時間の軽減・作業の制限等)

子の看護休暇・介護休暇の取得

派遣スタッフより、下記の休暇について取得の申し出があった場合、スムーズに取得できるようにご配慮いただきますようお願いいたします。

  • 子の看護休暇(小学校就学前の子を養育する者)
  • 介護休暇(要介護状態にある対象家族の介護や世話をする者)

派遣スタッフのスキルアップ

派遣スタッフが派遣就業を通じてスキルアップしていくためには、派遣スタッフ本人の取組みと派遣会社によるバックアップ体制のほか、派遣先企業の皆さまのご協力が欠かせません。
派遣スタッフのスキルアップは、派遣サービスレベルの向上や業務の効率化等にも寄与するものと考えています。ご協力をお願いいたします。

教育研修

業務上のレベルアップや必要な知識習得のために、派遣先企業の社員の皆さまを対象として実施する研修等については、派遣スタッフにも受講させていただくようお願いいたします。

派遣スタッフの能力に応じた仕事内容の見直し

  • 派遣スタッフは、あらかじめ派遣先から依頼を受けた内容に基づいて、派遣契約に定めた内容以外のことを行うことはできません。
  • しかし、就業期間の経過とともに、業務に対する経験を積み能力が向上してくると、仕事の幅の広がりや、難易度の高い仕事をしたいと希望する派遣スタッフも多くいます。
  • 派遣就業を通じた派遣スタッフのスキルアップを実現するために、営業担当を通じて派遣契約(業務内容)の見直しをご提案することがありますので、ご協力をお願いいたします。

評価

  • 派遣スタッフが派遣就業を通じてスキルアップを実現していくためには、現状の認識(評価のフィードバック)が大切であると考えています。
  • 派遣スタッフの働きぶりを評価するには、派遣先企業様のご協力が不可欠です。
    就業期間に応じて、営業担当から派遣スタッフの評価(就業状況・技能向上等の情報)について伺うことがありますので、ご協力をお願いいたします。

契約更新/契約満了

派遣契約の更新や満了(終了)にあたって、ご留意いただきたい点をまとめました。

更新の意思確認や通知は派遣会社を経由

契約更新の意思を直接派遣スタッフへ確認しないでください。派遣スタッフへの確認は、雇用主である派遣会社が行います。

NG例
「いつまで延長可能ですか?」 
「契約更新できますか?」

派遣契約を更新する、または更新しないことを、派遣スタッフへ直接通知しないでください。派遣スタッフへの通知は、雇用主である派遣会社が行います。

NG例
「次も契約更新しますね」 
「現在の契約で終了です」

契約条件の変更を派遣スタッフに直接求めたり、約束しないでください。

NG例
「就業時間を短くしてほしい」 
「とてもがんばってくれているので時給を上げます」

早期の契約確定(更新の有無)のお願い

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号)では、有期契約労働者との雇用契約を更新しない場合、原則として30日前までに予告しなければいけないとされています。(派遣の場合、派遣会社から派遣スタッフへの予告義務)

アヴァンティスタッフでは、契約期間満了の45日前程度を目安に、派遣契約の更新の有無を派遣先に確認させていただいております。
遅くとも30日前までには派遣会社から派遣スタッフへ通知ができるように、更新の有無を確定し、ご通知いただきますようお願いいたします。

派遣契約の中途解除

派遣スタッフの雇用の安定のためにも、派遣先の都合によって派遣契約を安易に中途解除することはできません。
やむを得ず、派遣契約を中途解除する場合には、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」に基づき、適切に対応することが必要です。

派遣法第29条の2 (労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置)

労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たっては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない。

「派遣先が講ずべき措置に関する指針」より

派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、派遣契約の解除を行おうとする場合には、次の措置を講じなければなりません。

1.労働者派遣契約の解除の事前の申入れ

派遣先は、派遣会社の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣会社に解除の申入れを行うこと。

2.派遣先における就業機会の確保

派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、派遣スタッフの新たな就業機会の確保を図ること。

3.損害賠償等に係る適切な措置

派遣スタッフの新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも派遣契約の解除に伴い派遣会社に生じた損害の賠償を行うこと。

  • ア)派遣会社が派遣スタッフを休業させる場合は、休業手当に相当する額以上を賠償
  • イ)派遣会社がやむを得ず解雇する場合は、次の賃金に相当する額以上を賠償
    • (ⅰ)派遣先の予告がないために派遣会社が解雇予告ができなかったときは、30日以上
    • (ⅱ)解雇予告の日から解雇までの間の期間が30日に満たないときは、解雇の30日前の日から解雇予告の日までの期間の日数分以上

その他派遣先は派遣会社と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。

4.派遣先は、派遣会社から請求があったときは、中途解除を行う理由を派遣会社に対し明らかにすること。

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